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スズメとイモチ
今年はお米の出来が過去最高!と喜んでいたのですが,ここに来てやばいことになっています。
一つ目はイモチ病。全面ではありませんが,数箇所ひどくでているところがあります。
もう一つがスズメ。ここ最近毎日のように大群で来ております。それも数が半端じゃありません。
これらによってうちの米が全滅するというところまではないと思いますが,減収することは必至です。ここまでが順調だっただけに精神的なダメージも大きいです。
さて,イモチ病に関してはある程度原因も見えてきたところですので,来年に向けて対策を講じることができますが,スズメはどうしたものでしょう。
田んぼに寄り付かないように脅すことはできますが,大発生の原因はわかりません。去年から急に増えてきましたが,自然界に何が起こっているのでしょうか。
それにしてもスズメたちもよくわかっておりまして,うちの田とお隣さんの田,要は農薬や化学肥料を使っていない田んぼに集中してきます。爆竹などで脅すとさすがに違うところへ逃げていきますが,確実に無農薬田を優先的に食べにくるようです。
今年はどれだけ転んでも三石は楽に越えるなと高をくくっていましたが,こりゃあわからなくなってきましたねえ。
暑いということは・・・
例年,お盆を過ぎるとこのあたりではかなり涼しくなってきます。ところが今年はお盆を過ぎてからのほうが暑い日が続きます。ここ数日は毎日のように34℃などと温度計がおっしゃっております。
ちなみにこの温度計は,玄関先の軒下につるしておりまして,一日中日陰の場所にあります。それが34℃とおっしゃるのですから日の当たる場所では推して測るべしです。
そんな中で畑仕事をしておりますと・・・死にますね。何とか午前中は朝の空気が残っておりますので耐え切れますが,午後からは無理です。夕方日が傾くまでは外での仕事になりません。
午前中も耐え切れるとは言え,汗の量は半端じゃありませんで,着ている物すべてが水に浸かったようになります。それも開始1時間で。ということでお昼時はそれらをすべて洗って干しておく時間でもあります。
ネット上ということでズボンとシャツしか写しておりませんが,パンツも靴下も何もかも洗って干してます。
さて,この暑さの中,午後の暑い最中に一度仕事に出てみて思いました。こりゃあ,熱中症にもなるわ,と。
そのとき思ったのですが,何で人間だけはここまで無理して働くんだろう,と。
このあたりは確かに暑いですが,街中ほどではなく,日陰にいれば何とか暑気をしのげます。ということで暑さだけを考えれば,上述したように暑い盛りの時間帯を避けて動けばいいということになるわけですし,実際に周囲のベテランさんたちはみんなそうされてますね。
ですが,こんな仕事の仕方をできる人は現代ではかなり少数派の部類でしょうね。自然に合わせて動けば当然であるはずのことができなくなる理由,それは何でしょうか。ここいらの根底に居座っているものこそが,「仕事」と「労働」の差を生み出している一因にもなっているのかもしれません。
この話はこのくらいにして,ともかく,サウナなんかに入って痩せようなんて思っているあなた,今のこの暑さなら一日畑で軽い仕事をするだけで十分それ以上の効果が得られますよ。しかも食糧生産と国土保全の役にも立てる,言うことなしですねえ。ただし,無理しすぎると命の危険を伴いますので,ご注意ください。
無添加の定義って・・・
台所にあった貰い物の海苔。缶にでかでかと「無添加」と記してあったので,興味を惹かれました。裏面には上記のような説明が書いてあります。「化学調味料等は一切無添加です」と。
で,原材料のところもよく見てみました。
こんなものが使われておりました。
「タンパク加水分解物」「~分解物」「~エキス」などなどここには書かれていないものもあわせて紹介しますが,どうもこの類のものは「化学調味料」には含まれないようです。日本の基準では。
法的な基準がどうなっているのかはよく知りませんが,私がバカなりに単純に思うんです。「科学的に合成・分解」などされたものは全部「化学調味料」じゃね?って。
たとえばタンパク加水分解物ですと,クズ肉やクズ大豆など要はたんぱく質を含んだものを薬品(酸系だったような気が・・・あまり定かでない)で強制的に分解して抽出した代物だったと思うんです。
この「~分解物」系っていろんな本でも健康に対する懸念の声が上がっているわけですが,「無添加」って書かれていたら=「安心・安全」なんて思いますよねえ。
いや,上記のようなことをわかった上でそれが無添加でいいんだって人ばかりだったら何も問題ないんですけど,私みたいな単純な思考回路しか持たない者にとっては,なんか騙されているような気がして・・・
どうも近年では健康ブームに乗っかって偽者の「安心・安全」商品が多すぎる気がしています。と嘆いたところで,結局は買う側がそこを見定めないと売る側の正義感なんてものは期待できない時代ですからねえ。
台風のあとに
夕べ最接近した台風4号も雨風ともにそれほど強くなく,田畑ともに被害なしで済みました。
今日は朝方,まだ雨風ともに少々残っておりましたが,晴れ間ものぞき,その加減でか,きれいに虹が出ました。写真で撮ってみるといまいちな感じですが,何とか虹も写っていたので載せてみました。きれいに半円状に見える虹も久しぶりだった気がします。
出穂
先週は所用で3日ほど家を空けておりました。百姓が(というよりは私が)家を空けますと留守中に何かアクシデントが起こることが多いのですが,今回は特に大きな事故もありませんでした。
とりあえずは帰ってすぐに田畑を見回ってみますと留守中に稲の穂が出始めておりました。悪い出来事ではないのですが,毎日田んぼを見て回っていただけに初めて出る穂を見損ねたのは少し残念です。
それから数日,例年よりはペースが遅めながらも少しずつ顔を覗かせる穂の数も増えてきております。どうも今年はダラダラと少しずつ穂が出てくる様子です。
これから1ヶ月以上かけてお米が実っていくわけですが,穂ばらみから含めて約2ヶ月をかけて稲もその子孫をこの世に生み出してその生を全うするわけです。
その間,病気に犯されて死んでいくものもあります。虫の被害もあるでしょう。今少々気になっているのは台風4号。うちの稲は元気に育っていますので,少々の風や雨で倒れてしまう心配は少ないのですが,受粉期に強風が来ますと花粉がすべて飛ばされてしまって不稔という可能性もあるのです。現時点で一番怖いのはこれですね。稲が開花して受粉する時間は非常に短いものですからその一瞬を襲われるとおしまいです。
稲に限ったことではありませんで,この自然界に生きるあらゆる生命はこうしてありとあらゆる危険にさらされながらその中で新たな命を生み出していくものです。
と,こういえば聞こえがいいのですが,この「危険」というのもただ単に我々人間が勝手にそう思い込んでいるだけのことでして,それらも含めて大いなる流れの一環でしかないんですね。
リスクをあおられてばかりの現代社会ですが,それを「危険」と受け取るか,当たり前の営みの一部として受け入れるかによって,生き方はもちろんその結果まで大きく変わってくる気がしています。
人間だけがその「危険」をゼロにできると勘違いし,驕り,逆に自らの首を絞め続けている気がするのは私だけでしょうか。稲は植えられた場所から逃げられません。だからかどうかは知りませんが,すべてを受け入れ,その中で精一杯その生を全うしようと生き抜いているように見えてなりません。当然自然農法を目指す私としてもその稲に対してあれこれと手を出すことはしませんし,ひたすらその生命力を信じて見守るのみであります。自然を信じるか否か,そして私たちもその一部であり,全体でもあるという自覚をもてるか,その一点にかかっているのかもしれません。
ちょっとした病気の兆候やいつもと違う生育の仕方にヒヤヒヤドキドキしている時点で,私もまだまだですが・・・
稲の色
毎日暑い日が続きます。今日は夕立が降ってくれるおかげで,いつもは蒸し風呂状態の我が家も快適な夕方を迎えられております。
今年はなかなか季節の移ろいが判りにくいようでして,早いところではコシヒカリも出穂しております。これまでの生育具合から今年はもう少しゆっくりめかと思っていましたが,これも私の勝手な思い違いだったのかもしれませんで,自然界は着実に秋に向けて動き始めているようです。
さて,写真はうちから見た田んぼの風景です。田んぼの色の違いに気づかれたでしょうか。色の濃い田と薄い田があるのがわかるでしょうか。このあたりではほとんどの田んぼがコシヒカリを植えていますので,品種は同じです。育ち方によって色の出方が大きく変わっているのです。
うちの周囲では私を含めて3人ほど自然栽培(有機農法)で稲を作っておりまして,色の濃い田んぼはその3件の田です。その他はいわゆる慣行農法(農協指導型の科学農法)の田です。
あらかじめ断っておき,ますが,どちらがいいとか悪いとか言う話ではありません。稲だけでなく,野菜も花も何でもそうですが,育ち方によってその姿・形・色などまったく違ったものになるということです。どの状態がいいと思われるかはその人の考え方,つまりは生き方次第ということになります。
何がどう違ってきて,写真のような差になるのか。普段何気なく口にしているお米ですが,消費者側にはあまりにも何も知らされていない気がしています。稲の姿といってもテレビなどでは田植えと稲刈りくらいしか見せませんし,生育過程なんて知る機会がないのが現状ではないでしょうか。
すべての食べ物についてその生い立ちを知って口にするというのが理想ですが,そこまでいかなくともせめて主食である米くらいはもっと知っておくべきじゃないかな,と。
ここでまた私の意地が悪いところでもあり,モノグサなところでもあるのですが,食べる側にもそういったことをもっと勉強してもらいたいな,と思っております。当然生産者側も勉強不足なところが多々ありますのが現実ですが,「消費者の声」によって生産活動を左右されているという現状から考えますと,消費者がもっと食いついてきてもいいんじゃないかな,とも思えるのです。
与えられた情報やマニュアルは真理から遠ざかっていくことが多い。自分で見て,触って,味わって,感じて,と五感をフルに使って考え,調べていく中で真理のひとかけらでもようやく見えそうになるものです。
ちなみにここでは私の考える稲の違いについては明かしませんが,現地に来て直接見たい・知りたいという場合にはその限りではありませんよ。明確な答えがあるわけではありませんが,私なりの自然観,稲との接し方はお伝えできると思います。