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2010年10月30日

適正個体数

食事中の方がおられましたら、いきなりこんな画像でごめんなさい。

今日、家の横のハウスを建てている畑で草を刈っておりますと、こんなものを見つけました。大きさから見てクマじゃないかと・・・写真じゃ大きさが分かりませんよねえ。

先週あたりから里でのクマの目撃情報が毎日のようにありまして、うちのすぐそばでも順番に栗の実を食べて回っておりました。今年は春に遅霜がありまして、柿の実はほとんど付いておりません。山にもドングリが少ないとかで、クマの食べるものもほとんどないのでしょうね。

里に下りてきても柿はないのですから、今年は栗を中心に食べていたようです。うちの近くの栗はほとんど食べつくしたのかと思って、少し気を緩めていたところこの発見ですから昨夜近くで聞こえた何かの鳴き声などもやはりクマの可能性が高かったのかもしれません。なかなかに油断の出来ない時季でして、特に身重の女房を抱える身としては気を引き締めねばならないところです。

さて、ここらあたりに生息しているのはツキノワグマと言われておりまして、広島県では保護獣となっております。ということで里にでてきて被害が出ても、また罠にかかっていても殺してはいけないそうです。

ということで、今年のように頻繁にクマが里に下りてきて、怪我人まで出てくると、このことをめぐって論争が起こるわけです。当然このあたり、つまりはくまの恐怖にさらされている地域の人たちの間では「殺さないといけない」と言う意見が強くなります。

そもそもクマが保護獣として扱われている理由は個体数の減少でして、むやみに殺していくと絶滅の恐れがあるからと言うことらしいです。しかし現地ではこれだけクマが里に下りてきているんだから「増えすぎだ」と言う見方もあります。

この地域の山にいったいクマがどれほど生息しているのかなんて実際のところは調べようもないと思うので、私には数が多いのか少ないのかはよく分かりません。

ただ、この論点を振り返って考えてみることは出来ますし、これは田舎に住む人たちだけの問題ではないと思うので、多くの人に考えてもらいたいと思っています。

まず、クマの個体数が減少したのはなぜか、という点ですが、大きく二つ考えられるんじゃないかと。一つは開発による生息圏の縮小、もう一つは山が荒れたことによる餌の減少、ではないかと。

次に、現状でのクマの個体数は多いのか少ないのか。これは先ほども述べましたように分かりません。ただ、昔は里で姿を見ることがなかったといわれるクマが頻繁に里に下りてくる原因はいくらか考えられます。

一つ目は単純に数が増えすぎて山では餌にありつけなくなった。
二つ目は里山という緩衝地帯がなくなって里に出てくることに慣れてしまった。
三つ目はあまりにも食べ物がなさ過ぎて切羽詰って里に出てきている。

とまあ、これ以外が容易に思いつかないのですが、他にもあるかもしれませんね。

こうしたいろんな情報を元にさらに考えを深めていきますといずれは真因にたどり着けるのかもしれませんが、現地の人たちは現状をどう乗り切るのかという切羽詰った悩みを抱えているわけでして、こちらも捨て置けません。

ぶっちゃけてしまいますと、要はこうした問題も結局は人間が引き起こしていることなんですが、その被害を一部の人たちに押し付けるのかどうかということなんです。これは実は今回のクマ問題だけに限らず、農林水産業の問題も環境問題も、少なし自然と関わっている問題全てに共通する課題だと思うんです。

もう一点、こうした問題を論ずるときに「適正個体数」という言葉をよく耳にしますが、人間の適正個体数はいったいどのくらいなんでしょうか。この自然界に生きるあらゆる生命の適正なバランスなんて数値は「神のみぞ知る」領域だと思うんですけど・・・

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2010年10月21日

稲こぎ開始

長らく更新をサボっていた間にもち米はよく乾いてくれました。稲こぎ(脱穀・選別作業)は田んぼで、と思っていたのですが、天気が怪しくなってきたこともあり、急遽ハウスに稲を運び込んですることに変更しました。

去年まではこの稲こぎも機械の力に頼って簡単に片付けていたのですが、この機械が去年壊れたこともあり、今年は「足踏み千歯」と「唐箕」を使っての完全人力作業にすることにしました。もち米だけのことではありますし、今年はクララもおりますので、昔ながらの日本の百姓のやり方を一緒に学んでもらおうという思惑も少々。

今日は午後から作業を始めまして、一連の作業の流れを解説しながら少しだけこいでみました。さすがにこの作業方式は時間と手間がかかります。

とは言いましても初めてこういった作業をするクララでさえ手順が分かればなかなか手際よく作業を進めていきます。夕方にはかなりスムーズに仕事が進むようになって来ましたので、明日からはいいペースではかどるんじゃないかと期待が持てます。

機械でやれば数時間で片付くことですが、こうした手作業でやることも実はものすごく大切だと思うんです。一つにはこれを知っているからこそ機械の有難さも実感できるわけですし、だからこそ大切に機械を使う心も育つんじゃないかと。

もう一つはもっと根源的なことですが、石油を使って動く機械が永久に使えるわけではないと言うことです。石油の枯渇が叫ばれてから久しくなりますが、いまだ石油はなくなる気配はありません。だからと言って永久に使えるものではないということもまた事実です。

下手すると私たちが生きている間は石油を好きに使えるのかもしれません。でもこれが子や孫の時代まで同じとは確実にいえないわけです。

自分たちが目先の利便性や自堕落を追求して作り上げた生活方式は、子や孫の時代にその付けを払わされるという構図が容易に想像できます。

そんなことを鑑みますと、自然の中で当たり前に生きられる形というものは残していくのが私たち世代の一つの責務でもある気がするんですね。自分が死んだあとになって「おじいちゃんが好き放題に贅沢をした付けを今自分たちが払わされているんだ」なんて恨み言を言わせたくはないですからねえ。

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2010年10月07日

鎌祝い

昨日からもち米の刈り取りをしていました。今年はうるち米の方は法人に委託して刈ってもらっていましたので,自分たちで刈るのはこのもち米だけでした。

このもち米は藁が長いので,毎年手で刈っています。クララも稲刈りは初めてということでいい勉強になっております。

初日の昨日は私の両親も手伝いに来てくれまして,かなりのペースで進みました。今日は残りをクララと二人で片付けました。昨日で3分の2くらいは片付いていましたので,今日はのんびりと楽に稲刈りを終えることができました。

今年はうるち米がイモチ病でかなりやられていたのですが,このもち米だけは病気もなく最後まで元気に育ってくれました。もともと収量は少ない品種なのですが,それでも今年はうるち米よりも多く出来ていそうです。

たった一枚の田んぼだけではありますが,無事に稲刈りが終わったということで,今日は「鎌祝い」です。いつもは呑まないクララも今日は一緒に乾杯しました。私は毎晩ですけど・・・

あとはよく乾燥できてから脱穀作業です。天気次第ではありますが,10日から2週間くらいで乾いてくれるのではないかと思っています。

何はともあれここまで無事に済みました。

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2010年10月03日

なんやかんや

2週間以上も更新をサボっておりました。今日は朝から雨です。ということで時間ができたのでようやく重い腰を上げたというところです。

さて,この2週間あまりになんやかんやとありまして,今日はそのご報告を。
まず先月24日~26日で毎年恒例の大学の実習を行いました。早いもので今年で5年目になりました。大学の夏休みを利用した集中講座ではあるのですが,一貫して「自然」「食」「心」をテーマとして行っています。今年は去年まではとプログラム内容もガラッと変えましたが,私たちの伝えようとしていることは変わりません。

今年は友人である京都の和尚も参加してくれたおかげで座禅などもできましたし,日常のちょっとした心遣いなども色々と伝えてくれ,大いに勉強になったことと思います。

ちなみに写真を載せようと思ったのですが,ファイルの容量が大きすぎてできませんでした・・・ごめんなさい。

そして,その実習のときから我が家にはフランスからの研修生が一人住み込んでおります。和尚の寺に出入りしていた縁と,そこで以前女房(結婚前ですが)とも一緒になったという縁とでしばらくうちで預かることになりました。

クララと言いますが,彼女は自然農法や産消提携活動に興味を持っており,私たちの生活がそれに近いということでやってきました。彼女が来てから1週間が過ぎましたが,毎日私たちと一緒に寝食をともにしております。

さて,例年より熟れ具合が少々遅れ気味になっておりました稲ですが,先日うるち米の方の収穫が終わりました。今年から地域に法人(株式会社)ができた関係もありまして,刈り取りは会社でやってもらうことになっておりました。

コンバインでの刈り取り→乾燥機→籾摺りと一貫した機械作業で行いますので,玄米になるまであっという間です。おかげで今年の収穫は楽をさせてもらったのですが,その分お金はかかります・・・

収量としましては,やはり最後の最後でやられたイモチ病の影響が大きく,期待していた量とは程遠い結果となってしまいました。が,とりあえず消費者の人たちに持っていく量は確保できておりますので,この点だけは一安心です。

8月上旬までの感じではお米は余りに余っていよいよネット販売にも乗り出そうかと皮算用をしておりましたが,そう簡単にはさせてもらえないようです。「百姓は毎年一年生」とか「百姓には来年がある」とかいう言葉はよく使われますが,こういうときにはつくづく身にしみますねえ。

残るはもち米ですが,こちらは今までどおり手で刈ってはで干しにしてという形です。ただ,今までと違うのが今年は脱穀機がないということです。去年の作業中に壊れまして,代わりの機械も見つかっていないのです。まあ,今年はもち米だけではありますし,クララもいることですから昔ながらの足踏み脱穀機→篩→唐箕という完全手作業でやろうと思っております。

この雨が退いて,天気になったらいよいよもち米刈り入れ開始の予定です。来年に向けての米作りの準備もまだ全部は終わっておりませんので,それと平行しながらの作業になります。収穫の秋,忙しい秋という感じになってきました。

夏休みの最後にまとめて日記を書く小学生みたいな内容になりましたが,今日はこのへんで。

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